「なんだこれは……」
ルルーシュはベッドに腰掛け、首を捻りに捻っていた。
確か昨日の夜、ゼロとケーキを食べて、プレゼントを渡して、部屋に帰って来たのは覚えている。
時計が現在朝の八時半を指していることから、随分眠ってしまったことも分かる。
だが、何故、自分はこんな服を着ているのだろう。
赤と黒のひらひらした丈の短いワンピース、長い黒髪のウィッグ。
ゼロがやったとは思えない。
「あ、兄さん起きたんだね!」
ロロが部屋に入って来るなり、そう叫んだ。
「おいロロ……これは……」
「兄さんやっぱり似合うね!凄く可愛いよ!」
ルルーシュには状況が読めないが、ロロは早口でまくし立てる。
しかもその手にはカメラ。
この状況はもしや、と嫌な予感がした。
「まさか、お前がこれを……」
「うん!」
ああ、やっぱり。
ルルーシュは思わず頭を押さえた。
「やっぱり似合うね!
僕の思った通りだよ」
そんなルルーシュのことなど露知らず、ロロはカメラを構えて大はしゃぎだ。
「お、おい、馬鹿やめろ、撮るな……!」
これ以上恥ずかしい格好を撮られてはかなわない。
万が一あの会長の手にでも渡ろうものなら……悲惨である。
「どうして?こんなに可愛いのに……」
「!」
可愛い、と言われルルーシュは瞬時に茹で蛸のように赤くなる。
「そ、そういう問題じゃないだろう!まったく……!」
赤くなったまま、ルルーシュが足を組む。
それを見て今度はロロが赤くなった。
その意味が分からず、ルルーシュは目を丸くした。
「に、兄さん……スカート……」
ロロの言葉通り目線を下に動かすと、裾の短いスカートが僅かに太腿を覆い隠している。
足を組んだせいでそれがより顕著になり、下着が見えるか見えないかの際どさになっていた。
「ど、どこを見ているんだお前は!」
「だ、だって兄さん……っ!」
「こら!抱きつくな!」
「可愛い兄さんが悪い!」
……ガチャリ。
二人がじゃれあっていると、部屋の扉が突然開いた。
ノブに手をかけ、不快そうな顔をしているのはC.C.だった。
「……お触り厳禁だとゼロにきつく言われただろう」
なんの話だ?とルルーシュが尋ねる前に、ロロは舌打ちをして部屋を出て行った。
後に残ったのは、まったく事態を把握出来ていないルルーシュと、ニヤリと笑いながらベッドに腰掛けるC.C.だけ。
「なかなかいい格好だな」
「五月蝿い!」
さっさと着替えてしまいたいルルーシュに、妖艶な笑みを浮かべながらC.C.が近付いてくる。
ベッドがギシリと音を立てた。
「さあ、次は私と楽しもうか?ルルーシュ」