よくよく考えてみれば、互いに自分の渡す物が何か明かしただけで何も決まっていなかった。
これだけ長い時間話し合っていながらそれとは、まったく時間の無駄である。
今までこうも無駄な時間を過ごしたことがあっただろうか。
ゼロは頬杖をついてすっかり疲れきった口調で言った。
「これ以上、時間を無駄にはしたくない。
ルルーシュと過ごす時間の希望を聞こうか」
時間の希望。
どうすればいいのだろうか。
最初を希望したいところだが、そうはいかないだろう。
ルルーシュの誕生日はゼロの誕生日でもある。
ルルーシュは自分のことより先に、ゼロにおめでとうを言いに行くに違いない。
そこまで考えて、しまった、とスザクは思った。
初めからゼロに仕組まれていたのである。
たとえ自分が日付が変わった直後を希望しようと、ルルーシュはゼロを選ぶだろう。
他の者もそれに気付いたらしく、ゼロには敵意のこもった視線が向けられている。
そんな視線を鼻で笑い、ゼロは口を開いた。
「初めにルルーシュに会うのは私ということで異存はないな」
毎年のことらしく、ナナリーはにこにこと笑っている。
その笑顔を見ては反論など出来るはずもなく、他の三名は渋々頷いた。
「あ、そういえば」
そういえば忘れていた。
確かルルーシュの誕生日を生徒会でも祝うとか。
「ミレイ会長が五時からルルーシュの誕生日パーティをするって」
お祭り好きな会長らしい、とナナリーが頷く。
おそらく夜まで続くだろうことは簡単に予想出来る。
その前後にはあまり予定を入れない方がいいかもしれない。
「なら、私は午前中にしておこう」
C.C.が脚を組み直しながら言った。
「薬が効いたままパーティになど行かせるわけにはいかないだろうからな」
面白がってはいるが、一応ルルーシュのことも考えているらしい。
しかし、本当に何の薬なんだと考えずにはいられない。
「では、私はお昼過ぎにします。
お兄様と一緒にお昼寝するんです」
愛らしく微笑みながら、ナナリーが言った。
どうやらお揃いで買ったらしい。
カエルのパジャマで昼寝をする兄妹、ある意味凄い光景だろうとスザクは想像した。
「じゃあ僕は朝にするよ。
それならあんまり人がいないだろうから」
「何だ、お前もルルーシュのことを考えているんだな」
ロロの発言をC.C.が茶化す。
「だってそんな可愛い兄さん、他の人に見せるつもりはないよ」
だが、ロロはロロだった。
「ほぼ決まったな」
ゼロがそれぞれの希望時間のメモを取りながら言った。
すべての時間を書き終わると、顔を上げ、スザクを見た。
「お前はどうするんだ?」
そうだ、自分はまだ決まっていなかったんだ。
まるで他人ごとのようにスザクは思った。
そういえば自分だけプレゼントもまだ決まっていない。
どうしようかな。
スザクは眉を寄せてしばらく悩んでいたが、やがてぱっと明るい顔になり、口を開いた。
「僕は――」