ナイフを握っているロロ。
その前に立ちはだかるナナリー。
その様子を慌てた顔で見つめるC.C.とスザク……。
その様子が、ゼロの目にどう映ったのか想像することは容易い。

「ロロ、どういうことだ……?」

ゼロの赤く光る瞳がロロを射抜く。
その鋭い眼光に、思わずロロは一歩下がった。
ゼロだと分かっていても、顔はルルーシュと瓜二つ。
怯まずにはいられない。

「ゼロ、落ち着け」

C.C.がゼロの肩を叩く。
今日はこんな役目ばかりだ、とC.C.は内心溜め息を吐いた。
このメンバーでは仕方のないことかもしれないが。

「ナナリーはスザクとロロの喧嘩の仲裁に入っただけだ。
まだ怪我もしていないし、何かあったわけでもない。
分かったら落ち着け」

その言葉にしばらくゼロは黙っていたが、やがて頷いて椅子に座った。
本当にお前は私の性格をよく分かっている、と呟いて。

「私とロロが議論していたのはお前の知る通りだが、その後スザクがこちらについた」
「こちら、とは?」
「ニーソ派だ」

あまりにもきっぱりとC.C.が言うものだから、ゼロは少し閉口した。
が、すぐに気を取り直して会話を続ける。

「それで?どうしてこうなったんだ?」
「スザクは体育の時間などにいつでも見ているし触っているから、脚など今更どうとも思わないと言い出して……」
「何!?」

触っている、と聞いた瞬間、ゼロの瞳がスザクへ向いた。
こいつもか……C.C.は溜め息を吐いた。

「今のお前と同じような反応をロロもした。
そこから色々とエスカレートし、スザクがルルーシュを常に視姦していたことが判明。
ロロも思わずナイフを取り出したところをナナリーが止めた……というところでお前が帰って来た」

C.C.の言葉がやけに刺々しいのは、スザクの計画に気付いているからだろう。
皆のストッパーに回ってはいるが、彼女もルルーシュと過ごしたい人間の一人だ。

「なるほど……」

ゼロが更にきつくスザクを睨んだ。
スザクは「自分だってルルーシュのことをちらちら見てるくせに」と舌打ちした。
しかしそれを口に出して言うのは自分の目の前で心配そうな顔をしているナナリーに悪い気がしてはばかられる。
それはゼロも同じのようだ。
そしてナナリーは分からない単語が多いらしく、頭に「?」を浮かべながら純粋な眼差しを皆に向けている。

「……その話は後に回そう。
そろそろ本題に戻ろうか」

ゼロはますます酷くなった頭痛に、額を押さえた。



Back Home