「happy birthday!」
クラッカーの音が響き、ルルーシュが出迎えられる。
講堂はすっかりパーティ仕様にされており、いろいろな料理が置かれていた。
「会長ぉー、何もここまでしなくったって……」
「なーに言ってんのよ!
我らが副会長のお誕生日なんだから、パーッとやって当たり前でしょ!」
リヴァルの言葉を気にも止めず、ミレイはシャンメリーを瓶のままラッパ飲みした。
「いいんだ、リヴァル」
「でもこれじゃあさー……」
リヴァルが周囲を見回す。
誰もが食べるか飲むか話すかするのに必死で、もはやルルーシュの誕生日パーティであることなど忘れ去られているに等しい。
「へぇー、これが庶民の誕生日パーティか!」
なんとなく言葉が引っかかるが、ジノはジノなりにパーティを楽しんでいるらしい。
アーニャがその傍らで写真を撮影している。
ふと、ルルーシュはケーキを頬張るジノに尋ねた。
「スザクの姿が見えないんだが……」
「ん?あれ?」
気付いていなかったらしく、ジノはきょろきょろと会場を見渡した。
「私はてっきりどこかにいると……」
「用があるって」
今まで黙っていたアーニャがぽつりと口を開いた。
用?とルルーシュは首を傾げた。
今まであいつがこの日に別の用事を入れたことなどあっただろうか。
「そうか……」
ルルーシュはどうやらショックだったらしく、寂しそうに俯いた。
あいつだって毎年暇なわけじゃないからな、そんな時もあるさ。
頭の中でそう考えてみるものの、寂しさは治まらない。
「…………」
余計なお世話かもしれない、と思いながらも、アーニャはうなだれるルルーシュを写真に収める。
そして、それをスザクへと送りつけてやった。