「おめでとう、ルル」
「ん」
今日はルルの誕生日だ。
しかしルルはあまり興味が無いらしい。
まったく、自分の誕生日だというのに…。
私にとってルルの誕生日は大きな記念日だ。
ルルが今日この日に生まれなければ、今の私は無かったのだから。
「ルルはどうでもいいのか?」
「何が?」
「自分の誕生日だろう」
ルルはケーキを口に運び、答えた。
「悪くは思ってないな。
毎年ゼロのケーキが食べられるから」
そう、ルルが食べているケーキは私が作ったものだ。
誕生日といえばケーキだろう、と随分昔に作ってから毎年恒例になっている。
私のケーキなどで毎年ルルが喜んでくれるのならばそれでいい。
「ゼロ」
「何だ?」
ルルは少し微笑んで、私の首に腕を回した。
「ゼロ」
「な、何だ…?」
驚いている私のことなど気にも止めずに、ルルはこう言った。
「おめでとう」
何のことだろう。
一瞬時間をかけて理解した。
ああ、今日は私の誕生日だったんだ。
「おめでとう」
私には誕生日がない。
いつ生まれたのか分からないからだ。
ルルはそんな私のために誕生日を作ってくれた。
ルルの誕生日と同じ日に。
「ありがとう、ルル」
私はルルに微笑み返し、そっとその身体を抱き締めた。
「ありがとう…」
ナナリーにも共有出来ない私とルルだけの記念日。
この日に生まれてくれて、本当にありがとう。