多くの犠牲を出し、戦いは終わった。
反逆者ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの処刑が決定し、
それから世界は新しい方向へ動き始めた。



Re:



「処刑は明日だそうだぞ、ルルーシュ」

小さな牢の中のルルーシュに私は話しかけた。
ギアスを使用できないように目隠しをされ、鎖に繋がれた様はとても哀れに見えた。

「C.C.……か」

声を頼りにこちらを向くルルーシュ。
少し痩せたようだ。

「……逃してやろうか?」
「何?」

自分でも驚いた。
そんな言葉が口から出るとは。
私は何を言っているのだろう。

「私の力を使えば、逃げ出すことなど容易い」

共犯者なのだからな。
ルルーシュは僅かに笑い、首を振った。

「いや、後のことはもう任せたんだ。
俺がこれ以上生き延びて出来ることはない」

確かに、ここで世界の敵として死ぬ方が、これからまとまっていく世界の為にはいいだろう。
しかし、それに納得出来ないのも確かだ。
誰よりもこの世界を救おうとした者の最期が、処刑だなどと。

「本当にスザクは助かるんだな……?」
「ああ、お前が奴にギアスをかけたことは事実なのだから」

命までは奪われないだろう、と私は言った。
こんな時にまで他人の心配とはな。
……当たり前か。
今、彼に残っているのは親友のみなのだから。

「……ルルーシュ、そのスザクのことだが」
「どうした?」

私は何を言おうとしているんだ。
ルルーシュは、スザクが生き延びることを望んでいるのに。
しかし、私は……。

「考えてもみろ。
ナナリーすら敵になった今、お前も奴も信頼出来るのは互いのみ。
なのに、ルルーシュまでいなくなったら、あいつはどうする?」

一人残される苦しみは、私もよく分かっている。
ふと振り向いた時に笑ってくれている仲間は、いない。
それがどれだけ孤独で苦しいか。

「ジェレミアに言って、あいつのギアスを解いてやって欲しい」

一人残された人間は、私だけでいいんだ。

「本気で言っているのか?
俺が何故あいつに生きろと言ったのか……」
「分かってるよ、ルルーシュ。
でも、あいつはもう十分苦しんだじゃないか。
これ以上お前は罰を与えるのか?」

随分と私は熱くなっている。
他人の為に、どうして。

「騎士じゃないか。
殉死くらいさせてやれ」

どうして私は、こんな必死になっているんだろう。
ああ、そうだ。

「C.C.……」

私は、お前達二人が羨ましかったんだ。

「ルルーシュ、私は一人残る者を見るのも嫌だし、
一人で逝く者も見たくはないんだ……。
ましてやお前達は、友達だったんだろう」

私も、随分と自分勝手なことを言うな。
これが本当に二人の為になるとは思えないのに。
だが、それでも

「……分かった」

ルルーシュは頷いてくれた。

「スザクがそれでいいと言ったら、そうしてくれ。
だが、生きる事を選んだ時は俺の代わりにあいつを助けてやって欲しい」
「本当に他人の心配ばかりだな」

優しすぎた。
お前達はみんな、優しすぎたんだ。
だから、私のような者に利用されるんだ。

「ありがとう、C.C.……いや――」

ルルーシュは私の名を呼び、さよならと言った。
私も同じように別れを告げて、ルルーシュの元を離れた。
枢木スザク、奴を探す為に。



Back Home