何度も何度も、願った。
目が覚めて、これが夢であればいいのにと。
Re:
「兄さん!」
「お兄様!」
ぼすっと鈍い音がして、俺は夢から覚めた。
俺の上にはナナリーが乗っかっていて、それを見てロロが笑っている。
「ナナリー、ロロ……」
重い瞼を上げて、漸く俺は気付いた。
二人がここにいるはずがないのだ。
「ロロ!お前は死んだはずじゃ……!
それに、ナナリーも……!」
俺が言うと二人は首を傾げ、顔を見合わせた。
「やだなぁ、兄さん!」
「お兄様、怖い夢でも見たんですか?」
夢?
俺が聞き返すと、二人はおかしそうに笑った。
夢、だって?
あれが全部夢だったというのか?
「ルルーシュ様、スザク様がお迎えにいらしていますが」
扉の方に顔を向けると、恭しく頭を下げながら、メイド服の咲世子が部屋に入って来た。
この姿は久しぶりに見る。
「スザクが……?」
言われた通り手早く着替えて玄関に向かうと、制服姿のスザクが立っていた。
本当に、どうなってるんだ?
「おはようルルーシュ。
……珍しいね、寝癖がついてるなんて」
クスリとスザクが笑って俺の頭を撫でつける。
少しくすぐったくて、俺は目を伏せた。
「スザク、お前は確かラウンズに……」
「ラウンズ?」
なんのこと?
スザクの反応は二人と同じだった。
「だから兄さん、それは夢だったら!」
着替えたロロが笑いながら現れた。
「お兄様ったら、ずっとおかしな話をしてるんです。
さっきも私とロロお兄様が死んだとか……」
鞄を持ち、クスクスと笑いながらナナリーが歩き出す。
確かナナリーは目も見えず、歩けなかった筈なのに。
「もしかして兄さん疲れてるの?」
「あははっ、ルルーシュが疲れてるわけないよ。
授業中ほとんど寝てるし」
ね?とスザクが俺に同意を求める。
「あれは夢……だったのか?」
親友も、妹も、弟もすべて失ってしまったあの世界。
あれはすべて夢?
「夢だよ。心配いらないよ」
「そうだよ、僕達はちゃんとここにいるでしょ?」
「ね、お兄様」
スザクが俺の頭を撫で、二人がそれぞれ俺の手を握った
「ああ……そう、だな」
俺が漸く表情を緩めると、三人は嬉しそうに笑った。
そうだ、あれは悪い夢だったんだ。
俺の世界はここなんだ。
信頼出来る友人、兄想いの弟、誰よりも優しい妹。
もしも夢ではないのなら、こんな世界が続けばいいのに、そう願った。
「永遠に続くよ、ルルーシュ。
その世界から、お前が目覚めることはない」
私は周囲を見回した。
転がっているのは二人分の死体。
彼の大切な友人と、最愛の妹。
その傍らで柱に頭を預け眠っているのは、彼自身。
「死んだら、全て消えてしまうだろ」
だから、私はコードを渡した。
自分が死ぬ為に。
そして彼に夢を見せ続ける為に。
今頃きっと、彼は幸せな世界で普通の少年として過ごしているだろう。
「それでいいんだ。
この世界はお前にとって、最後まで悪夢のままだったのだから」
私はルルーシュに寄り添い、目を閉じた。