スザク。
お前は、最後まで強い意志を貫き通した人間だったよ。
お前もギアスの力に抗い、そして自力でそれを抑え込んだ。
強い意志があってこそ、だろうな。
――だからといって、こんな結果になるのなら意味がないじゃないか。
Re:
「すまない」
俺はそっとスザクの頬に触れた。
ゆっくりと冷たくなっていく身体。
顔を上げると、長い髪の少女が血を流して倒れていた。
「お兄様は私が止める、か……」
幼い少女の小さな手には似合わないそれを、硬直し始めていた手から引き抜いた。
この銃は、俺に向けられたものだった。
お兄様は生きていてはいけない人間だ、という否定の言葉と共に。
その時、俺は死を決意した。
かつて親友に同じことをされた時よりも深い絶望が俺を襲ったからだ。
俺はよくやった。
彼女を守る為に、ここまでよく戦った。
だから、もういいんだ。
諦めかけて、目を閉じた時だった。
「――生きろ!」
スザクの声が聞こえたのは。
俺とナナリーとの間に、割って入ったのだ。
自分が俺の代わりに撃たれると分かっているこの状況で、
スザクは逃走し生き延びようとするギアスに逆らい、
俺の壁となったのだ。
「スザっ……」
ぐらりと倒れるスザク。
もう一度俺を撃とうとするナナリー。
しかし、スザクが銃を抜く方が早かった。
耳を塞ぎたくなるような大きな音がして、ナナリーの胸に穴が開いた。
嗚呼、ナナリー、スザク。
すまない。
本当にすまない。
「生き延びるんだ、ルルーシュ。
どんなことがあっても。
君は、まだ死んではいけない」
そう言ってスザクは息絶えた。
気がつくと、俺の前には死体が二体転がっていた。
「二度もナナリーを殺させてしまったな」
フレイヤと、今回のこと。
本当なら、俺がすべきことだったのに。
「お前は、最後まで罪を背負って逝くのか」
そう問うが、死体は何も喋らない。
幼い頃の俺にとって、全てだった二人はもういない。
後に残ったのは俺という偽りを固めて作られた人間だけ。
「C.C.……不老不死の力を俺によこせ」
柱の影に佇んでいたC.C.は目を伏せるばかりで何も言わなかった。
「お前の願いを叶えてやるためじゃない。
これは俺が自己満足で自分の罪を償う為だ。
死ぬことの出来ない身体で俺はいつまでもこの世界にいよう。
スザクやナナリー、ユフィ、ロロ……みんなが待っている世界へは向かわない」
握り締めた手の平に爪がグッと食い込んだ。
どんな痛みにも耐えてみせる。
この魔女がそうしてきたように。
「本当にいいのか?」
C.C.の問いに俺は「ああ」と短く答えた。
「向こうで伝えてくれ。
俺はそこへは向かわないと」
頷くC.C.の目からぽたぽたと涙が落ちた。
苦しみから解放される喜びか、
それとも俺を憂いてくれているのか。
「スザク、お前が罪を背負って死んで逝くというのなら
俺はこの世界で罪を背負って生きていこう」
これが俺の答えだ。
スザク、お前は呆れるだろうか。
苦笑して「ルルーシュらしいね」と言ってくれるだろうか。
生まれ変わる、などということがあり得るとは思わないが今だけは信じたっていいはずだ。
またいつかこの世界で再び出会えると。
「だって、俺達は友達だろう?」