ダイ「マサムネ今暇ー?」(部屋に不法侵入

マサ「見ての通り、俺様はギターの手入れで忙しいんだよ。だから大人しくしてろ。分かったか?」(しっしっ

ダイ「そこは『you see?』だろ!」

マサ「…………」(呆

ダイ「…………」

マサ「…………」(黙々と弦張り替え中

ダイ「……しっかし時間かかってんなぁ。マサムネってギター何本持ってんの?」

マサ「……鳥も数えりゃ三本だな」

ダイ「やっぱ三本目は口にくわえんの?」(wktk

マサ「……俺歯ギターできねーよ」

ダイ「ふーん……。ところでマサムネ、今日の晩飯なに?」

マサ「また俺様んちで食ってく気かよ」

ダイ「あ、分かった。マヨネーズ丼だ」

マサ「そんなコレステロール値上がって兄貴が死ぬようなもん作るか。献立はこれから考えるんだよ」

ダイ「じゃあチャンプルーにしようぜ」(いい笑顔

マサ「……そろそろ温厚な俺様も怒るぞ?」(ビキビキ

ダイ「刀六本出る?」(wktkwktk

マサ「…………」






狩沢「ヨシプーってパソコンとか好き? 自作とか興味ある?」

三好「あります」(こくこく

狩沢「じゃ、これなーんだ」(ぴらっ

三好「!!」(ガタッ

狩沢「そう、某PCパーツショップのクーポン券なんだけど、私は使わないからヨシっちにあげるよ」

三好「ありがとうございます!」(喜

狩沢「……そのかわりって言ったらアレなんだけどー……実は次の新刊の表紙に困っててねー……」(ちらちら

三好「…………」

狩沢「誰かモデルがいてくれたら描きやすいんだけどー……」(ちらちら

三好「……新刊って○○×□□でしたっけ」

狩沢「うん、そうそう」

三好「分かりました、臨也さんに練乳ぶっかけてきます」(キリッ

狩沢「それね!」(グッ



小一時間後



臨也「やあ三好君、練乳なんて持ってどうしたのかな。イチゴでも食べるの?」

三好「いえ、頭と顔にぶっかけます」(きっぱり

臨也「あ、頭と顔?」

三好「はい、臨也さんの」(いい笑顔

臨也「しかも俺の!?」(ざわ…ざわ…






暦の上ではそろそろ春なのに、まだまだ春の気配は無い。
今日も最低気温はマイナスだってさ。
本当に嫌になるなぁ。
外になんか出たくないなぁ。
本当は温かい電車から下りたくなくて、このまま山手線をぐるぐる回ってたいんだけど、そうはいかないから立ち上がる。
前に立ってる人にあっためてあげた席を譲って、ホームに着地。
白線の内側まで下がると、発車した電車の起こした風でコートがバタバタ泳いだ。
震えそうになるくらい寒いや。
思わずコートの前を上まできっちり留めて、手をポケットに突っ込んだ。
あとは顔と首が寒いけど、それは我慢する。
一瞬だけ手を出して改札を抜けて、目当ての出口の方へ小走りで向かう。
明日も当然寒いらしいから、明日は絶対引きこもろうっと。
それをする為には今日ここで目的を達成しなきゃいけないんだけど。
それが終わったら帰りにアイスを買って帰ろう。
みんなが寒いのに頑張ってるなか、俺だけ暑いって言いながらアイスを食べてるなんて、楽しいじゃないか。
そうと決まれば早く行こうっと。
なんだか足取りも軽やかだ。
おや、向かいの道路にいるのは来良の生徒じゃないか。
みんな教科書を見てる。
テスト期間なのかな。

「――っ!?」

そんなことをぼーっと考えていた時だった。
突然呼吸が出来なくなったのは。
何かで首を絞められているらしい。
俺は袖口からナイフを取り出し、抵抗を試みた。
いや、その必要は無かったみたいだ。
ナイフを取り出した時点で力が緩められ、俺は振り向きながら咳き込んだ。

「よお、ノミ蟲」
「やあ、シズちゃん」

俺の後ろに立っていたのはシズちゃんだった。
つまり、俺の首を絞めた犯人ってことだ。
なんとか息を整えながら首を押さえる。
いきなり首を絞めるなんて、どういうつもりなのかな。
俺の言葉にシズちゃんはイライラしたように眉間に皺を寄せた。

「あァ?
俺は手前が忘れてったマフラー返してやっただけだ。
手前のクソ寒ィ格好見てるだけで腹が立つんだよ。
絞まったのは手前がもがきやがったからだろうが」

いや、そりゃあさ、確かにそうかもしれないけど。
でも考えてもみなよ。
背後からいきなり首に何か巻き付けられたらさ、身の危険を感じるよ、普通。
だけどシズちゃんに普通とか常識とか言ったって仕方ないから、俺はそれを言わないでおいた。
それに正面から「はい忘れ物」って渡されてたら多分俺は受け取らなかっただろうな。
だって昼間の往来の真ん中で普通にやり取りして、どうして平和島静雄が折原臨也のマフラーを持ってるの、なんて思われたら、ねぇ?
まあシズちゃんはそんなとこまで考えてないんだろうけど!

「……大体手前は何でそんなわざとらしく首だけ開けっぴろげてんだよ?
ちったぁ隠すとか――」
「安心してよ、明日は家に引きこもってる予定だから。
……っていうか、照れるなら最初っから付けなきゃいいのに」
「あぁ!?」

シズちゃんは真っ赤になって怒った。
こんな感じのやり取りはいつものことで、この後も当然予定調和で、俺をシズちゃんが追っかける。
そしたら俺は駅に逃げ込んで、コンビニでアイスを買って、明日まで鍵をかけて籠城するんだ。
でも化け物にはそんなもの通じなくて、明日になったら簡単に侵入されて、そしたらさ。
明後日はマフラーを巻いて出てこなきゃ、シズちゃんが怒鳴るんだろうな。
なら最初からやらなきゃいいのにね。

「ほんと何考えてるのか分かんないよ、シズちゃんって」

マフラーに顔をうずめてそう呟いたら、なんだか可笑しくて思わず笑った。



お礼らしいものを書こうとして撃沈した結果。



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