三好「吉宗お兄さんと千晶お姉さんの子供メール相談室ー!」(ドンドンパフパフー)

千晶「このコーナーでは私と吉宗君がみんなの悩みを解決していくよ。
じゃあ吉宗君、最初の相談いこっか」

三好「えーと、ペンネーム『劉備』さんからの相談です」

千晶「メールありがとう!」(にこっ)

三好「『街で会うとわざわざ声をかけてくる先輩がいます。
こっちは友達と一緒だったりするのでうざいです。
どうすればうまく回避出来ますか?
俺はどうせ声をかけてくれるなら黒髪ロングで眼鏡をかけて勉強を教えてくれる先輩がいい!』だって」

千晶「あー……いるいる、そういうめんどくさい知り合いって。
こっちは友達と一緒にいるんだから邪魔しないで欲しいよね」(はぁ

三好「千晶はこういうときにどうするの?」

千晶「うーん……私は絶対どっちか決めちゃうかな。
友達優先だったら今忙しいって断って別の日に話すし、すごい急ぎとかどうしようもなければ友達に謝ってその人の話を聞くと思う。
もちろん後で友達に謝るし、次会った時に埋め合わせはするよ。
友達を待たせて喋るっていうのはあんまりしたくないな。
だから私はどっちかを断ると思う」

三好「すごい千晶らしいね。
かっこいいと思う」(にこ

千晶「えへへ、そうかな……?」(照

三好「その先輩は後で工場とかに呼び出すとして、やっぱり友達との時間を大事にしようってことだね」

千晶「えっ」

三好「どうしたの千晶?
次のメールは?」(きょとん

千晶(なんだろう、吉宗君が今凄く不穏なことを言った気がする……)
千晶「と、とりあえず次読むね!
次は『ホモォ┌(┌^o^)┐』さんからの相談!」

三好「メールありがとう」(フルスマイル

千晶「『仲が悪くて有名な二人がいるんだけど、あれって絶対ケンカップルだと思う!
でもどっちが受けか決められなくて困ってるのでどうしたらいいか教えて下さい』……?」(首傾げ

三好「…………」

千晶「ごめん、私じゃちょっと意味が分からないや……。
吉宗君、どういう意味か分かる?」(しょぼん

三好「うーん、分からなくもないけど」

千晶「ほんと!?
……前から思ってたけど吉宗君って結構いろんなこと知ってるよね」(驚

三好「別の総攻めを入れたら両方受けに出来るから一人増やせばいいんじゃないかな」(にこっ

千晶「それってどういう意味なの?」

三好「千晶は知らなくていいよ」(いい笑顔

千晶「えー、なにそれ」

三好「じゃあ最後の相談読むよ。
えーと……。
…………。
……………………」

千晶「?」

三好「…………」(沈黙

千晶(漢字が分からないとかかな?)
千晶「ねえ吉宗君、そのメール私読んでもいい?
今の相談全然答えられなかったからさ」(助け船

三好「…………」(無言で紙を渡す

千晶「じゃあ読むね!
えーと……」
千晶(あ、吉宗君に読んで欲しいって書いてある。
それで読みたくなかったのかな?)
千晶「ペンネーム『(吉宗お兄さんに読んで欲しいです)臨也さん、ラブ!』さん!
あはは、ごめんね私が読んじゃった」(笑って誤魔化す

三好「チッ」(舌打ち)

千晶(舌打ちするほど嫌だったんだ……)
千晶「内容は、っと……。
『最近後輩が俺のことを敬ってくれません。
声をかけてもガン無視したり、物凄く嫌そうな顔をします。
この間は一方的に電話を切られました。
後でかけ直すと言われたのに結局かかってこなかったので、一日電話機の前で待ってました。
でも特に謝罪もしてくれません。
俺はこんなにその後輩のことを想ってるのに分かってくれなくて辛いです。
どうすればいいですか?』……だって。
ちょっと可哀想だね」(若干同情)

三好「その後輩は敬いたくないというか、死んで下さいって思ってますよ」(真顔

千晶「吉宗君!?」

三好「あ、もう時間だ。
吉宗お兄さんと千晶お姉さんの子供メール相談、また来週!」(にっこり

千晶「ええっ!?
吉宗君どうしたの!?
吉宗くーん!?……」(フェードアウト






机の上にあった書類が一枚、何かの加減でひらりと落ちた。
もちろん盗み見るつもりはなかった。
僕はただ、元に戻そうと思っただけだ。

「…………?」

拾い上げた拍子に、たまたま文章の一部が見えた。
それが目に留まったのは知っている単語が書かれていたからだろう。

「デュラハン?」

池袋で知り合ったある女性のことだ。
この部屋の主も彼女のことは知っているし、間違いないだろう。
しかし問題は、それが何故書類に記載されているのか。

「っ!?」

不意に目の前が真っ暗になった。
いや、隙間からは今までと同じ景色が見える。

「さて、俺は誰でしょう?」

斜め後ろから声が聞こえた。
この部屋の主だ。
僕の目をふさいでいるのはその人の手らしい。

「……臨也さん」
「ご名答。
まあ君には推理するまでもなかったかな?」

僕は溜め息を吐いた。
本当にこの人は何を考えてるのか分からない。

「当たったなら離して下さい」

僕は目をふさぐ手を引き剥がそうとした。
しかし臨也さんは何故かそうさせてくれなかった。
それどころか、ぐっと力を込められ、後頭部が何かに当たる。
位置的に臨也さんの胸の辺りだろうか。

「あの……」

意図がまったく読めない。
僕が眉を潜めると、臨也さんはもう片方の手で、僕の手首を掴んだ。

「油断も隙も無い子だねぇ。
目を離した隙に書類を盗み見るなんて」

僕はそれでやっと気付く。
そういえばまだ書類を持ったままだった。
違います、僕は落ちた書類を拾っただけで、見るつもりなんて無いんです。
僕が弁解すると、臨也さんはフンと鼻を鳴らした。
もちろん手は離してくれない。

「……まあいいや、信じてあげるよ。
そんなところに置いてあった俺にも責任があるし」

言葉とは裏腹に、臨也さんはまだ僕を疑っているようだ。
或いはそう思って焦っている僕を見て楽しんでいるのか。

「ねえ三好君?」

臨也さんが僕の耳元に顔を寄せて囁く。
見えないせいか、大袈裟に驚いて身体が跳ねた。

「君はそんなもの、見なくていいんだよ」

手首を握る手の力が少し強くなった。
だけど僕が怖いと感じたのはその声の方だった。
何を考えているか分からない声。
それがいつも通りの飄々としたものではなく、深い深い海の底のように理解が及ばないものだったからだ。
やはり臨也さんは僕がこの中身を読んだと思っているらしい。
僕に出来るのは、その言葉にただ黙って頷くことだけ。

「お利口さんだね」

臨也さんは手を離して僕から書類を取り返すと、もういつもの調子になっていた。
だけど僕はまだ、いつも通りに言い返すことが出来なかった。

――臨也さんは僕が邪魔だと言いたいのか、それとも。






ヨシヨシと谷田部の三人でゲーセンに行くことになった。
男三人の休日なんてそんなもんだ。
谷田部は一人だけなんかそわそわしてる。
落ち着けよ。

「将軍、あれとかどうっすか?」

俺に振るな。
お前、俺とじゃなくてヨシヨシとやりたいんだろ。

「おー、ゾンビ撃つやつな。
いいんじゃね?」

でもそこで突き放したりはしない。
恋でもなんでも応援してやるのがダチってもんだろ。
いや、相手がヨシヨシなのがすげぇ複雑だけど。

「へー、谷田部君上手だね!」
「だろ」

谷田部は結構そのゲームが上手かった。
だからそれを選んだんだろうけどさ。
逆に俺は上手くいかずに、気付いたらゲームオーバーだった。

「ヨシヨシ、交代ー」
「え、正臣コンテニューしないの?」
「小銭無いから両替してくるわ。
その間ヨシヨシ頼んだ」

もちろん小銭が無いとかいうのは口実だ。
谷田部は明らかにテンションが上がって「いくぜ三好!」とか言ってる。
いやー、俺って良い奴だなー。

「そう?
分かった、じゃあその間頑張ってるよ。
えい」

…………。

「…………」
「…………」

ヨシヨシマジうめぇ……。
無言で的確にゾンビの頭を潰していく。
谷田部が可哀想になるレベルだ。

「あ、谷田部君。
そこ右の道だよ。
左だと遠回りになるから」
「お、おぉ……」

たまに喋ったと思ったらそんなん。
実は俺らが知らないだけでヨシヨシって結構凄いのか?

「…………」
「あ、ごめん正臣。
終わっちゃった」

そのまま俺に出番は回って来ずに、ヨシヨシはエンディングまで勝ち進んだ。
もちろんノーミスで。

「ありがとう谷田部君。
やっぱり二人いると一人より楽だね」

笑顔が眩しいヨシヨシの隣で、谷田部は今にもブツブツ言い出しそうなオーラを背負っていた。
ヨシヨシ、それ以上谷田部いじめてやるなよ……。

「えーと、谷田部……。
格ゲーでもやるか?
な、ヨシヨシも格ゲーやろうぜ!」
「そ、そうっすね……」
「うん、いいよ」

とりあえず気を取り直して別のゲームをやることにした。
谷田部は確か格ゲー得意だったはずだ。
これならきっと……。

「えい」
「…………」

……谷田部ドンマイ。



私の中でのヨシヨシが酷い\(^O^)/
多分ゲーム強い。
あと千晶ちゃんのことは呼び捨て。
でも多分それは男友達と同じ扱いだからです(・ω・`)

ていうか子供メール相談室なのに大人からの質問が多いのはどうなんだ。



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